それでも数人、ジェームスに心を寄せる人がいて、例えば、旅行中に夫を亡くしてしまった妻。
年老いた作家。
裕福でありながら、傲慢で、家族が自分の元を去って行った後の孤独を酒で埋めようとし、今やアルコールの海に溺れかけている男。
憎まれ口と生意気な態度を貫きながら、でもジェームスを実は慕っている少年。
その少年が、屈折したもの、満たされない何かを心に抱えていることが描かれるシーンが、印象的。海辺にイーゼルを立てて、少年が描いている絵の中心に置かれているものは、そこにはないもの。多分、少年は、少なくとも感じていて、ジェームスだけが少年の中にある消えないものの存在に気づいていることを。
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